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国家公務員試験総合職受験日記 官庁訪問 -- 本番前編

長々のろのろと続けてきたこの国総受験日記ですが、いよいよ最終章・官庁訪問本番編です。えー、しかしまた長くなったので前後編に分けて書きます。前に9月中に完結させるとか言ってた気がしますがいつになるやらという感じで大変申し訳ないです。

全体の流れ

この後の話の流れをわかりやすくするために、はじめに僕の官庁訪問がどのように進んでいったのか、以下にその全体像をまとめておく。官庁訪問解説編と併せて見てもらうと分かりやすいかも。

僕が周った省庁を初日から順にA,B,Cとして、最終的に内々定をもらったのはC、つまり一応第3志望の省庁。「一応」というのは、この3省庁の志望度はどれも同じぐらいだったので、志望動機が作りやすい順に周ったため(Cには興味のある政策分野があったけど、僕が今までやってきたこととあんまり関係がなかったので動機に説得力をもたせづらかった)。他に省庁のランク順に周るとかいう話もあるけど、これは文系の場合っぽい? よく知らない。

官庁訪問自体についてのあれこれは解説編で書いたとおりなので、ここからはもうほとんど残っていない記憶と訪問中に取っていたメモを頼りに、実際の僕の官庁訪問の進み方をできるだけ具体的に追っていきたい。とはいえ余裕がなかったのでそこまで詳細にメモを取っていないのと、僕のプライバシー保護のため不鮮明な部分も多くなると思いますが、あらかじめご了承ください(まぁ本気出した当局なら一意特定できる程度の情報は既に出してる気がするけど……)。

6/26(水) 第1クール1日目 A省1回目

受付開始時間の10分前ぐらいに集合場所に行くと既に30人ぐらいが並んでいてビビるも、文理一緒に並んでいただけだった。受付後は文理で別の待合室に通され、最終的に待合室に揃った人数は約40人。学部・院・既卒といろんな人がいたので、技術系と事務系を別々に選考するのは当然として、技術系の中でさらに試験区分によって分けるということはしないらしい。これは他の省庁も一緒だった。総合職全体での採用数は学部卒と院卒で分けて出されてるけど、省庁ごとの採用数一覧見ると分かれてないし学部卒・院卒の枠配分は省庁ごとに勝手にやってるんだろうか。謎。

A省の待合室には長机を長方形に組んだ島が複数あり、訪問者は分かれてそれらを囲む形で座るという形だった。そのグループを使って何かするということは(少なくとも僕の訪問中には)なかったが、訪問者同士の距離が近かったので、否応なく他の訪問者と常に会話が生まれるようになっていた。この辺は省庁によってけっこうスタイルが違ってて面白い。

訪問者には受付順に番号が与えられ、訪問中はずっとその番号で管理された。面接の際には面接を行う何人かの番号が呼ばれ、ぞろぞろと面接室に連れて行かれる。面接室は広めの部屋がパーティションでいくつかのブースに区切られていて、各ブースで職員と一対一で面接を行うという形。面接が終わったら待合室に戻って次の面接まで待機。この流れはB省,C省でもだいたい同じだった。A省では待ち時間の間は他の訪問者と面接がどんな感じだったかといった情報交換や、その他雑談をしていた。面接から帰ってくるといつの間にか意識高い議論が行われてたりもした。

A省で特徴的だったのは、選考落ちを伝える際のやり方。面接で呼ばれるときには「何番さん、荷物を持たずに来てください」あるいは普通に「面接を行いますので来てください」と言われるのだが、選考落ちの際にはその旨が待合室の中では直接伝えられず、「何番さん、荷物を持って来てください」と呼ばれる。これが選考落ちのサインであり、その後はエレベーター前だかに連れて行かれ、「本日の面接は以上になります。何かあれば連絡します(何かあるとは言ってない)」などと祈りの言葉を投げつけられて終了となるようだ。なので呼び出しの人が待合室に来たときには壮絶な緊張感が漂い、さっきまで談笑していた人が落ちて帰っていった後なんかはお通夜ムードになる。面接の合間合間にその公開処刑タイムが繰り返される様はさながら地獄だったが、これがわりと典型的な官庁訪問の形式だっていうんだから恐ろしい話である。


A省では原課面接は一切なく人事面接だけを受けた。詳細にメモを取ってはいないのでもうほとんど覚えてないけど、面接の内容は基本的に面接カードの内容(志望理由・やってみたいこと・研究内容・性格・打ち込んだことなど)に沿って進められ、突拍子もない質問が飛んでくることはあまりなかったと思う。なので志望理由なんかは毎回最初にだいたい同じことを喋って、詳しく突っ込まれる部分が相手によって変わるという感じ。一回の面接はだいたい15〜30分ぐらい。
あとの2省庁もだいたいそんな感じだったけど、省庁ごとに重点を置いている部分が違うようで、例えばA省では研究について詳しく聞かれることはあまりなかった。

あとA省では毎回面接官の年次とこれまでの経歴(所属部署の変遷とか)を聞かされた。役職(課長補佐とか)は教えられなかったので、よく言われる面接官の役職の違いで自分の評価が云々みたいなのはよく分からなかった。でも官庁訪問のプロは説明会などのときに志望省庁の採用担当者や会った職員の役職を把握しておくらしいって他の訪問者が言ってた。

さて、ここからは僕がこの日受けた面接の模様をダイジェストで。

まず1回目の面接官は入省3年目の男性。練習不足が祟って、はじめの志望動機を言うところからいきなりつっかえてしまった(二次試験の人事面接は大学のイベントで一度練習する機会があったけど、官庁訪問については対人の練習は一切してなかった)。終わったあと「なぜ民間じゃなくて公務員なのかをしっかり説明する」「経験によるエピソードを盛り込む」といいとのアドバイスを受けた。前のエントリでも触れたようにどっちもわりと基礎かつ根本的なことだし、「アドバイスは採用の見込みがない人がされる」みたいな話もあるので、今思うとしょっぱなから死亡フラグを立ててたのかもしれない。全員1回目の面接が終わったぐらいの時点で早くも1人が前述のやり方で帰され戦慄した。

2回目の面接は5年目の女性、3回目は7年目の男性、4回目は7年目の女性だった。面接は毎回だいたい同じような感じだけど、3回目の面接官には「自分のやりたいことができるとは限らないがそれでもいいか?」ということをやたら強調され、たじろいでしまった。省庁内での配属先はある程度希望を聞いてもらえることもあるが、基本的に各省庁が扱う様々な政策分野の中で自分の専門・興味のある分野に携われる確率はそんなに高くないとのこと。これはどの省庁でも同じらしく、この質問は他の省庁でもけっこうされたので、ちゃんと考えといたほうがいいと思う。単に「国家の政策を担う以上はどんな分野にも魅力があると思うので……」みたいなことを言うだけだと、「まぁみんなそう言うよね」とぶった斬られる。昼飯は確か2回目の面接の後に他の訪問者と省内の食堂で食べた。

面接の順番については評価順に呼ばれるなんて話もよくあり、訪問者の間でも様々な憶測が飛び交っていた。この訪問では1回目の面接は受付順だったが、僕は2,3回目がだいぶ後の方、4回目は前の方と法則性がよく分からなかった。他の人もそんな感じだった。

面接の合間合間にぽつぽつと帰される人が出て、全員が4回目の面接を終えたあたりで残っていたのは25人ほど。ここから僕はもう1回面接に呼ばれ、この日は結局5回面接を受けることになったのだが、5回目があったのは25人のうち僕を含む8人ほどだけだった。このことについても訪問者の間で憶測が飛び交ったが、その8人のメンツから優秀だったから呼ばれたのかギリギリだったから呼ばれたのかはよくわからない感じだった。情報戦である。

結局18時前になると3,4人ずつ荷物を持って来るよう呼ばれ(きれいに番号順に呼ばれたし時間も時間だったので選考落ちのアレではないとわかった)、出口面接という程のものはなくエレベーター前で第2クール初日午前の予約を言い渡され解散。ということで面接の出来自体は良かったとはいえないものの、とりあえず僕の官庁訪問は初日通過と幸先のいいスタートを切ることになった。

この日思ったのは、だいたいどの面接官にも最後に「何か聞きたいことは?」と聞かれるので、質問をできるだけたくさん用意しておいたほうがいいなということ。面接中に面接官が話した内容について鋭い質問を投げられるのがベストだけど、僕は頭の回転が遅いからそういうの苦手だったし、かといって複数の面接官にあらかじめ用意した同じ質問を投げ続けるのはリスキーだし。これは他の省庁でも共通なので、志望省庁について勉強するときに浮かんだ疑問点をまめにメモるとかしておくといいのかも。それを好きなだけ中の人に直接聞けるというある意味非常にいい機会です(勉強中にこういうポジティブな考え方ができてたらなぁ……)。

6/27(木) 第1クール2日目 B省1回目

B省では2日目だからか列形成などはなく、案内の看板に従って自分で待合室まで歩いて行きそこで受付をするという形だった。待合室の席の配置はA省と似ていたが、訪問者同士の距離が遠く会話がしにくい雰囲気になっていた。また、受付時に「チームで壁を乗り越えた経験」についてA4用紙1枚分の作文を課された。期限は帰るまでだったが作文とか死ぬほど苦手なので勘弁してほしかった。最終的に集まった人数は15人ほどと1日目に比べてだいぶ少ない。2日目以降はそんなもんなんだろうか。

さて、B省での面接は最初がいきなり原課面接だった。僕含め3人の訪問者が実際に職員が働いてるオフィスに通され、会議スペース的なところで3年目の職員からB省の概要やその人の業務内容に関する説明を受けた。他の2人がだんまりだったしこれも評価の対象になるのかと思い頑張って質問を投げたが、メモとか取ってなかったし本当に説明だけだったのかもしれない。

午前の面接はこれだけで、昼飯の後しばらくして2回目の面接があった。今回は人事面接で、面接官は4年目の職員。面接は30分だと伝えられていたが面接カードの内容が15分ぐらいで終わってしまい、残りが全部質問タイムになって困った。やっぱり質問は多めに用意しておこう。

B省の特徴はとにかく待ち時間が長いことで、16時を過ぎたぐらいの時点で受けた面接は上記の2回だけ。1日目は第1志望ということもあってかジャケットを着ていた人も多かったが、この日は他の受験者もほとんどノージャケノータイ第1ボタン空けでぐでーっとしていた。ちなみにどの省庁も待合室はろくに冷房が効いてなくて暑い。僕はうちわを持って行ってたんだけど、これがけっこう役に立ったのでおすすめ。
結局その後さらに2回人事面接があり、それが終わったのが18時過ぎぐらい。4回目の面接では志望動機についてそれがなぜ公務員でないと駄目なのかを深く追及されて困った。B省での面接はA省と同じく面接カードベースだったけど、A省より研究のことを説明させられる機会が多かった気がする。

B省ではA省のように途中で帰らされるということがなく、全ての面接が終わったあと1人ずつ出口面接に呼ばれて結果を伝えられるという形だった。順番は受付順(つまり朝来た順)で、僕は来るときに少し道に迷ったため10人目ぐらいだったのだが、ここからの待ち時間がまた酷かった。1人呼ばれたあと次が呼ばれるまで10分ぐらいかかっていたので、19時前ぐらいから呼ばれ始めて僕が開放されたのは21時過ぎという始末。官庁訪問のルール的には拘束は22時までなので一応セーフ(?)なのだが、この長時間拘束にはだいぶ体力を奪われてしまった。出口面接自体は2人の職員に「今日の面接はどうでした?」みたいなことを軽く聞かれるだけのもので、最後に次回の予約をもらいとりあえず1日目に続き第1クール突破。

ということでこの日は「できるだけ早い受付順を確保した方がいい」という教訓を得た。僕が訪問した全省庁とも第1クールでの帰る順番は受付順だったし。まぁ僕はてきぱき行動できない人間なので結局毎回10〜5分前到着だったけど……。あとは長い待ち時間を潰す算段も立てておいたほうがいいかもしれない。

6/28(金) 第1クール3日目 C省1日目

さて、僕の最終的な内定先であるC省。B省と同じく朝は直接待合室まで向かいそこで受付をするという形で、この日の訪問者は10人ほど。C省の待合室は大学の講義室のように机が列状に並んでおり、B省にも増して他の訪問者と会話をする雰囲気ではなかった。B省では待ち時間が長いこともあり次第に訪問者の間で会話が生まれていたが、C省では結局訪問中他の訪問者と話をすることは一切なく、待ち時間には用意されていたパンフとかを読んでいた。あと携帯でテザリングしてiPadでネット見たりとかもしてたけど特に何も言われなかった(他の2省庁も同様)。僕が訪問した省庁は待合室での行動を評価してはいなさそうだった(評価する省庁もあると聞いたことがある)けど、ずっと携帯いじってるのはあんまりいい感じがしないので、タブレットを持ち込んでいたのはよかったかもしれない。感覚の問題だけど。

C省の面接も全て人事面接。面接官の年次や役職は一切教えられなかったけど最初の面接からそこそこ年いってそうな人が出てきたりして、ここはだんだん年次が上がっていく感じではないのかな?と思った。あとは自分がやっている研究に加えて研究室のことや所属している専攻のことなんかも聞かれたりして、学業まわりに重点を置いてる感じがした。最初に言ったとおりC省にはあまり深い志望動機がなかったのでこれには助けられた。また、ここまでくると既に人事面接を8回こなし流石に慣れてきていたので、意外な質問が来なければわりとそつなく受け答えができるようになっていた。僕は官庁訪問以前の面接の経験がほぼ皆無だったので、C省に通ったのは他2省でがっつり実戦練習ができたおかげもあるかもしれない。慣れって大事だ。

この日は午前に1回、午後に2回面接に呼ばれ、4時半頃から1人ずつ受付順で出口面接が始まった(途中切りはなかった)。出口面接では特に何も聞かれず次回の予約をもらい、例によって僕の受付順はうしろの方だったけど、18時前ぐらいには開放された。



……と、第1クールを終えてここまでまさかの3戦3勝。最後のC省はともかくA,B省での面接はあまりうまくできたという感触もなかったんだけど、意外と官庁訪問楽勝なんじゃね?という慢心が生まれる。土曜は秋葉原に気晴らしに行って、日曜はほぼ一日中ホテルにこもってダラダラしたりうまく答えられなかった部分の練り直しなんかをしたりしていた。

次回、やっぱり楽勝ではなかった官庁訪問後半、筆者は果たして内々定を獲得できるのか!?なるべく近日公開。