まったりいんふぉまてぃくすめもらんだむ

主にプログラミング関係のメモに使うかもしれないしそうでないかもしれない

国家公務員試験総合職受験日記 一次試験編

前回のあらすじ

偶然にも5日の準備期間で国家公務員総合職の一次試験を受けることになった俺達は……

国家公務員 総合職試験の概要

さて、今回からは本題の国家公務員 総合職試験の話。総合職試験ってのは去年に国Iこと国家公務員I種試験の内容がガラッと変更された際の新名称で、中央省庁で行政職、いわゆるキャリア・官僚を目指す人のための試験。最初に試験〜採用の流れを軽く紹介しておくと、だいたいこんな感じ。

4月上旬:受験申し込み

4月末:一次試験(マークシート

5月上旬:一次合格発表

5月下旬:二次筆記試験(記述+大卒区分のみ小論文)

5月末〜6月上旬:二次人物試験+院卒のみ政策課題討議試験

6月下旬:最終合格発表

その2日後(!)〜7月上旬の約2週間:官庁訪問開始〜内々定

他にも春の官庁訪問とか秋あたりにやってる教養区分?とか色々あるっぽいのでちゃんとした内容は人事院のサイトで調べて。

一次試験

今回は一次試験編ということで、まず僕が受けた「国家公務員試験総合職 院卒者試験 工学区分」の一次試験について概要をざっくりと。以降の内容は僕が受けた平成25年度の場合で、今後細かい部分が変わったりするかもしれないのでご注意を。

総合職院卒の一次試験では基礎能力試験専門試験が一日で行われる。どちらも全問5択のマークシート式。

基礎能力試験

30問・2時間20分。内訳は文章理解が8問(うち日本語3問・英語5問。文章読んで内容に合う選択肢を選んだり、文章が成り立つように欠落部分に入る文を並べたり)、判断・数的推理が16問(パズルみたいな問題。必要な数学の知識はせいぜい高校の数2ぐらいまでで、思考力が問われる。それと資料解釈の問題も少し)、知識分野が6問(時事3問、知識問題3問)。

専門試験

40問・3時間30分。前半20問は全員共通の工学基礎問題で、内容は高校の数学・物理。内訳としては数学9、力学3電気4、あとは熱・光・音とかそのへんからまんべんなく1問ずつという感じ。
残りの20問は選択式で、なんとか工学みたいな分野が29科目各5題ずらっと並ぶ中から各々自分ができる4〜6科目を選択し合計20問に答える。きっちり4科目5題ずつ答えてもいいし、6科目からすこしずつつまみ食いしてもいい。

対策

基礎能力試験

日本語の文章理解はけっこう迷わされるのでセンターの現文苦手だった人は手こずるかも。英語はTOEICと同じぐらいの文章レベルでちゃんと読めれば選択肢は選びやすいけど、文章が長いし量が多くてしんどい。判断数的は普段からそういうの好きな人じゃないとなかなか素早く解けないと思うので、過去問やってコツを掴むといいと思う(選択肢をヒントに逆算、答えに必要な情報を素早く見つけるとか)。知識問題は生物・地学・歴史などかなり範囲は広そうだけど、配点低いし歴史なんか勉強するぐらいなら他にもっとやることあると思うので無対策でいいと思う。多少知ってる内容が出ればラッキーぐらいのつもりで。一方学部卒の試験ではこの知識問題の割合が増えるので、勉強する必要が出てくるかもしれない。

解答時間がかなりシビア(単純計算で1問4分ちょい)なので、時間の管理はしっかりやらないとまずいことになる。僕は知識分野6問を最初の20分以内に解いて、残りを順番に1問5分目安で解く戦略をとった。あとはまぁ普通に、迷ったやつは後回しにしてできるところから解いていくとか。

勉強方法としては、とりあえず過去問やってみて文章理解・判断数的でこれはやばいってのがあれば多めに過去問で練習するって感じかな。基礎能力は問題が事務系と共通で問題集もたくさん売ってるので、どうしてもという場合はそれに頼るのもありかも。

専門試験

工学基礎については、数学・物理共に問題のレベル自体は高校の期末試験〜センター程度であまり難しくはない。ただ、数学や力学・電磁気の公式を使って計算する問題は知識が抜けてると辛いので、一次試験で時間をかけて勉強するとしたらここかも。勉強してるのとしてないのとでだいぶ差がつくんじゃないだろうか。

選択に関しては自分の専門分野以外のことはよくわからないけど、問題のレベルはそこまで高くないはず。だいたいの人は自分の専門分野だけでは4科目を埋められないと思うので、残りどの科目を使うのかを考えておく必要がある。情報系の僕の場合は自分の専門に近い科目が情報基礎・ハードウェア・ソフトウェアと3つあったので、残りの5問は基礎化学、電気工学の直流回路の問題、あと通信工学とか電子工学の中にときどきネットワークとか論理回路の問題が紛れ込んでるのでその辺を狙うことにした。

解答時間は単純計算でも1問5分強と基礎能力より長めな上、問題も易しめで知識問題なんかは1,2分でかたがつくことも多いので、基礎能力に比べるとかなり時間には余裕がある。なのである程度実力をつけておけば安定して点を取れるんじゃないかと思う。

数学・物理の知識が抜けてる場合は、普通にチャート式とか物理I・IIが一冊にまとまった軽い単元解説付き問題集とか、高校生のときに使ってたような参考書で復習すればいい。そんなもん捨てたって場合は大学の本屋には売ってないと思うので一般書店で買いましょう。

選択の方は参考書があまり出回ってないので基本的に過去問+大学の教科書・ノートで勉強することになる。電気・電子・情報に関してはなぜか参考書があった(後述)。

僕の場合

さて、説明はこれぐらいにしてここからは僕の一次試験受験の過程をせっかく5日だけなので思い出せる限り詳細に書いていきたい。最初に断っておくと、一応この5日間は一日中ほぼ試験勉強だけやってた(かなり拘束の緩い研究室にいたので、研究は就活終わるまでほぼストップさせてもらってた)し当然かなりきつい思いをする羽目になったので、できれば1ヶ月前、最悪2週間前ぐらいには手を付け始めたほうがいいと思う。ていうかボーダー(6割弱)を見るに技術系は僕みたいな中途半端な対策で受けてる人が多い気がするので、真面目にそれができればかなり有利になるはず。一次試験の点数はきっちり最終的な合計点に入るし、二次試験は差がつきにくいため一次試験の点数は配点が低いにもかかわらずけっこう席次への影響が大きいらしい。

4/23(火)

火曜に基礎能力・水曜に専門を1年分解いて、基礎能力はそんなに勉強する必要ないはずなので木・金は専門の勉強、土曜に総まとめという感じでものすごく雑に全体の見通しを立て、まずH24基礎能力を解いてみた。時間はあまり真面目に計らず解けそうなやつは最後まで解いて17/30。思ったよりできない。特に短時間で解けるようになるにはある程度コツを掴んでおく必要があると感じたので、本番までにもう1年分は解きたいと思った。

4/24(水)

H24専門を解く……も、数学はそこそこわかったものの物理がちんぷんかんぷんすぎて中断。知識がほぼ抜け落ちてる状態で解くつもりだったのがそもそも間違いだったのだけど、とりあえず復習の必要性を認識したので大学入学時に念のため持ってきてそのまま5年間押入れに封印してきた高校の参考書を漁った結果、こんなのが出てきた。

物理I・II基礎問題精講

物理I・II基礎問題精講

物理のエッセンス電磁気・熱・原子―新課程対応 (河合塾SERIES)

物理のエッセンス電磁気・熱・原子―新課程対応 (河合塾SERIES)

わー懐かしい(もちろん版は当時のもの)。全範囲を復習してる時間はなさそうだったので、出題数の多い力学・電気をこの2冊で復習することにした。

また選択の方も、あー確かに講義とかで触ったことはある気がするけど問題として出されるとよくわかんねーみたいなのが多くてだんだん危機感を覚え始める。過去問だけでの独学では不安になったので、このタイミングで専門の参考書がなんかないか調べた結果、こんな本があることを知る。

公務員試験 技術系スーパー過去問ゼミ 電気・電子・情報

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  • 作者: 資格試験研究会
  • 出版社/メーカー: 実務教育出版
  • 発売日: 2012/09/11
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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スー過去とかいう国家公務員試験では定番の参考書シリーズらしいが、理系の専門科目はこれとあと土木・化学だけっぽい? とりあえず大学の本屋に行ってみると運良く現物があったので音速で購入。試験4日前に参考書買うとかアホすぎるけどこのときはそれぐらい追い込まれてた。

結論から言うとこの本、わりとよかった。僕が使ったのは主に後半1/3に載ってる通信工学・情報工学のところだけだけど、科目ごとの基礎知識や頻出問題の解き方をざっとおさらいできて勉強のいいとっかかりになったと思う。総合職の問題もそこそこ載ってるけど載ってる問題は主に一般職のものが多いので、足りない問題量は過去問で補っていけばいいだろう。

基礎も専門もそうだけど、自分がどのぐらいのレベルから始めないといけないかは人によって違うと思うので、とりあえず早めに過去問を1年分実際に解いてみることをおすすめする

公務員試験 速攻の時事 平成25年度試験完全対応

公務員試験 速攻の時事 平成25年度試験完全対応

あと、時事問題対策の定番らしいこれも置いてて安かったからついでに買った。時事対策する気はあんまりなかったんだけどすきま時間に出題確率大きいところだけ読んだり、あと一次終わったあとでも面接の時事ネタ対策とかに使えるかなーと。こっちは少し読んだだけで「あっ、これ速時事でやった問題だ!」みたいな都合のいいことが起こるわけもなく、あまり役に立たなかった。これからまた使うかもしれないけど。

とりあえず、基礎問題精講を使って力学の復習を始める。この問題集は載ってる問題が中堅私大〜駅弁ぐらいのところから持ってきてるので、買うならもうちょっと低いレベルの問題集でいいと思う。

4/25(木), 4/26(金)

円運動あたりまでの力学の記憶をざっと取り戻す(それでも現役のときのほうが10倍できてたと思う)。続いて基礎問題精講はちょっとレベル高くてしんどいのでエッセンスで電気の復習。最初は電場・電位・コンデンサーと真面目にやっていたがだんだんめんどくさくなり、出題可能性の高い直流回路を触って磁場とか電磁誘導は投げた(電気きらい)。その後はスー過去の自分の専門分野をひと通りやってみる。こっちは大学でやってる内容に近いのでわりとすんなり取り組めた。

4/27(土)

勉強した内容を復習しつつ、専門の過去問をつまみ食い。この辺で問題のレベル自体はあんまり高くないことに気づきもっと早くから勉強しけば……と死にたくなる。寝る前に基礎能力を1年分、時間を見ながら解く。

4/28(日)当日

試験時間は9:00〜17:00。集合時間は忘れたけど会場が自分の大学で、下宿から自転車で10分だったので余裕だった。総合職試験になってからは午前が専門、午後が基礎能力という罠が仕掛けられてるので注意(大卒と院卒で基礎能力の問題数=試験時間が違うからだとか)。まぁ僕もz前日にネット見てて偶然知ったんだけど、集合のとき速時事とか基礎能力の参考書見てる人がいてニヤッとした。実際の試験時間は確か専門が9:20〜12:50、基礎能力が14:20〜16:40だったと思う。専門はけっこう時間余ったけど、基礎能力は全問手を付けたもののぜんぜん時間が足りなかった。昼飯はいったん家に帰って悠々と食った。

自己採点・セルフ講評

翌日に正答番号が公表されるので、センターのように自己採点。基礎能力・専門ともに6割ちょっとだった。

基礎能力は文章理解を全問正解、わかる問題1問しかなかった知識も3/6とここまでは上々。しかし午前の専門や英語の文章理解でだいぶ体力を削られていたのか、判断数的に凡ミスやもう少し考えれば解けてたなぁという部分が多かった。基礎能力は午前から集中力を持続させることと、とにかくスピードが大切だと思った。

専門の方は、まず数学を半分ぐらい落としててヘコむ。物理はやってないところはほぼ全滅だったけど、勉強した力学・電気についてはそこそこ成果が出たのでよかった。専門は情報科目15問の他は基礎化学の前半3問、電子工学の論理回路の問題、通信回路のネットワークの用語問題を選んだ。基礎化学はわりと自信をもって解いたんだけど全然合ってなくて、「あれ、これやっぱり高校の知識だけじゃ解けないの?」と思った。

一次試験は例年だいたい6割弱ぐらいがボーダーなのでたぶん通ってるんだけど(参考:国家公務員総合職試験(院卒)のボーダー予想−得点計算室)、ちゃんとやってればもっと取れてたろうになぁ……と合格発表まで悶々と過ごした(遊びながら)。

結果

5/10の9時にネットで発表。受かってた。今年は採用予定数がだいぶ増えてるのもあって、両方5割とかでも受かってるらしい。一次終了時点での工学区分のデータはこんな感じ。

申込 一次合格 最終合格 採用予定
大卒 H24 1919 334 186 75
H25 1870 628 110
院卒 H24 789 177 91 45
H25 764 276 60

(参考:国家公務員採用試験の実施結果,試験情報・採用情報)

4日後ぐらいに合格通知書が来る。まだまだ先は長い……。

二次試験編に続く。